初恋タイムスリップ【完】

「春休み…毎日部活はお昼まで?」


「あ、あぁ」



なんだから話し掛けても成海くんがこっちを見ない。


「成海くん家、行っても大丈夫なの?」


「あ…大丈夫だよ。母さんと弟がいるけど」



ん?なんか…怒ってる?


「成海くん…なんか怒ってる?」



「いや…別に」



なんか…様子が変だな。


なんか…私やっちゃったかな?突然会いにきちゃったから?



「成海くん、なんか言って?私なんかしちゃったかな?」

信号待ちの時に思い切って聞いてみた。



「あのさ」


成海くんはそれだけ言って、私から目をそらした。

そして自分のバックからスポーツタオルを出して、そっと私の首にかけた。


「男はみんなエロいから、気をつけろよ」


………え?

もしかしてこの服胸開きすぎ???

成海くん背が高いから上から見ると…胸見えてたかも…



恥ずかしい…


成海くんがかけてくれたタオルを胸の前で押さえた。



「似合ってるよ…服も髪も。さっき部活のやつらが、超かわいいっていってて…ちょっとムカついた」


ムカついたって…




「私…成海くんしか見えないから…」


本当に…何歳になっても

成海くん以外を好きになれなかった。



成海くんは前を向いたまま、笑っていた。





学校から30分ぐらい歩いたところに成海くんの家があった。

私の家からかなり遠い。

いつも本当に遠回りしてくれていたんだな…


門を開けると、広い庭、大きな家…

「すごい…広いね…」



成海くんは自転車置場に私の自転車を止め、荷物を持って玄関を開けた。

「ほら」



「…うん」



中に入ると小さな男の子が走ってきた。