お腹が鳴ったことで、修正しにきた事を思い出した。

ぐずぐずしている場合じゃない。ちゃんと話さなきゃ。




「私ね。成海くんが…

すごく好きなの!絶対に別れたくないの!」




なんか言っていることがおかしいかも…と思ったけど、自分の今の気持ちを言った。



成海くんは…ぷっと吹き出して笑った。


「なんだよ。別れ話かと思ったよ」


成海くんは私の手を強く握った。

「別れるわけないだろ?」


私はうなづいて、ずっとずっと10年間、ずっと聞きたかった事を聞いた。


「成海くんは…どうして私の事を好きになってくれたの?」



ずっと謎だった。

頭も良くてスポーツも万能でかっこいい成海くんが
ちびで、勉強も運動もダメで内気な私をどうして好きになってくれたのか…

ずっと聞きたかった。




成海くんは下をむいて





「一目惚れ…だったんだ」



成海くんは照れ臭そうに下を向いたまま話しを続けた。

「2年で同じクラスになって、かわいい子だなぁ…って思ってたら、
ピアノ弾く姿を初めて見て…

美音が伴奏者って決まったらすぐ瀬戸先生に
『俺指揮者やります』って言ったんだ。

ずっと部活しながら音楽室でピアノを練習している美音を見てた。

こんな気持ちになったのは、はじめてだから…」



そうだったんだ…

成海くん、私を見ていてくれていたんだ…


「美音は?」


「わ、私も一目惚れだった…
私もこんな気持ち初めてだし。

ずっとこの気持ちは何歳になっても変わらない」


そう、これ実際本当のことだ。



何年たっても私は成海くんが…




二人ぎゅっと手を繋いで座って話し続けた。


外はだんだん暗くなっていった。