高校生活は、友達はできたけど、好きな人なんかできなかった。


成海くん以上に想える人がいなかった。



中学を卒業してからの成海くんは、全くわからない。




高校入ってからしばらくして、私はピアノの道をあきらめようと思った時があった。

月謝とか、お母さんの望んでいたT音大を目指したとしても私立だから入学金とか授業料とか、

お父さんに、申し訳ない気がしたから。


でも、ピアノをやめようと思うと言った私に、


「親に遠慮することない。本当にピアノを嫌いになった時に、
やめればいい。

嫌いじゃないなら、続けなさい」


お父さんは優しく笑ってそういってくれた。

ピアノは好きだった。
ピアノを弾いているときだけは、
お母さんが私を認めてくれていた気がしたから。



だから、やっぱり続けようと思った。


そして少しでもお金がかからないように、

お父さんの負担にならないように、目標を国立のG音大に変更して、


G音大に合格し、


地元の駅前の音楽教室に就職。




そして

今の私がいる。