成海くんが私に近づいてきた。


自分の心臓の鼓動がどんどん早くなっていくのがわかった。


ドキドキどころではなかった。


ドックンドックンドックンドックン



成海くんが一歩近づくたびに、


私は目線を落として、

成海くんが目の前で立ち止まった時には、


私は、自分の足元を見ていた。








「一緒に帰ろうか…」




え………


その言葉にさらに恥ずかしくなって下を向いた。





一緒に帰るって、

一緒にって・・・私の家反対方向なのに。



成海くん知らないのかな




「私の家、校門出て右なの」

緊張しているのと、下を向きすぎているせいで、

うまくしゃべれない…

なんでこんなぶっきらぼうな言い方しかできないんだろう…


なんでもっと普通にしゃべれないんだろう・・・


成海くんの顔さえも見ることができないなんて・・・




なんで私って・・・








「遠回りするよ」





その言葉にはっと顔を上げて成海くんの顔を見た。




成海くんは、また

八重歯を見せてはにかむように笑った。




この笑顔



成海くんの笑顔が、


私は、好きなんだよ・・・成海くん・・・