音楽室は開いていた。



グランドピアノと窓の外のグラウンド。




「もう一度、ピアノ聴かせてよ」



あの時と同じように、成海くんが、グランドピアノに腕をのせて言った。



「うん」



私はピアノのフタを開け椅子に座った。



ゆっくり弾き始めた。







成海くんを好きになったこの音楽室




ここからいつも


成海くんを見つめていた。





またもう一度見つめる事ができて、私は幸せだった。



でももう私は






未来へ帰る









曲を弾き終えると




成海くんは私の大好きな笑顔を見せた。



「ありがとう。



また聞かせてよ」



あの時と同じ言葉…

卒業式では泣かなかったのに、涙がこぼれ落ちた。




成海くんが隣に立った。




「卒業しても俺達、ずっと一緒にいような」


成海くんは、私の頭を撫でた。





一緒にいられたら……





私は立ち上がって成海くんに抱き着いた。





そして音楽室でキスをした。