「なんで、そんなに目が腫れるほど、泣いたんだ?」


成海くんは私の頬に手をあてた。




涙の訳…




成海くんの幸せを願っている自分と、離れたくない自分と…




でもやっぱり成海くんの幸せを1番に願いたい。




「私、成海くんの夢を叶えてほしい。

私は夢が叶うように

ずっと

ずっと祈っている」




成海くんは、私の頬を撫でた。

「もしかして、東京に行くって言った事を気にしているのか?

美音が行くなと言うなら、俺は行かないよ。

美音のそばにいる。

父さんのいる大学病院だっていい病院だよ。

あそこでだって医者になれる」





「そんな…」





私は成海くんの顔を見た。



「そんなこと、言わないでよ…



そんな簡単に変えられちゃう夢なの?


違うでしょ。



優くんを手術した病院で医者になるのが夢なんでしょ。



そんな大事な夢を、私なんかのために、あきらめないでよ…」




ダメだ…



成海くんのそばに私がいたら、成海くんは優しいから

きっと、


東京に行く夢をあきらめてしまう…




ダメだよ…そんなの…