寝ている部屋のドアが開いた。
体操着姿の成海くんが入ってきた。



「美音!大丈夫か!」



成海くんは私に駆け寄った。



私は顔面の傷が、どのくらいひどいのかが、気になっていた。


「鏡が…みたい」



成海くんのお母さんが手鏡を渡してくれた。





恐る恐る鏡をのぞいた。


左の頬骨のあたりに、擦り傷が少しある程度だった。


少しホッとした。




その時、お父さんが勢いよく部屋に飛び込んできた。



「美音!」





お父さんの後ろに、お母さんがいた。









お母さんは無表情のまま、私のそばにきた。



私の顔をじっと見て、一筋の涙を流した。







「お母さん…」









お母さんは何も言わず、部屋から出て行った。



「父さんは検査結果聞いてくるからな。

すみませんでした。

いろいろありがとうございました」



お父さんは成海くんのお母さんに頭を下げた。






成海くんが近づいてきて、私の横にある椅子に座った。




「美音が平均台から落ちて、気を失っていて、本当にびっくりしたよ。

美音の家に保健室の先生が電話をしたら出なかったみたいで、うちに連絡してもらったんだよ。

母さんは俺の父さんに連絡して、救急車で運んでもらったんだ。

美音のお父さんには、病院に着いてから、連絡がついたんだ。

ここは
俺の父さんが働いているF医科大学病院だよ」