月がとても明るい夜だった。




「成海くん。美音は、今までずっと、親の顔色をうかがって生活してきた。
いい子でいなくちゃいけないと思っている。

そう思わせてしまっているのは、わたしのせいだと、反省している。

成海くんの前では、どうだろうか?

ありのままの美音でいるだろうか。

ちゃんと自分の気持ちを成海くんに伝えているだろうか」





成海くんは少し考えていた。


「美音さんが僕に、なんでも思っていることが言えるように、

ありのままの美音さんでいられるように、

僕が、努力します」





成海くん…







お父さんは、うれしそうに笑った。



「ありがとう。美音は…昔の母さんに、そっくりなんだ」





私が…


お母さんに…?




「母さんはわたしと付き合っていた時、母さんは自分に自信がなくてな…

とてもきれいな人なのに、自分をとても卑下していた。

母さんは何度も自分から別れようと、わたしに言ったよ。

自分はわたしに不釣り合いだと言うんだ。

美音もそんなことないかい?」



成海くんは、困った顔をした。



「成海くん、美音が離れようとしたら、それは本心ではない。

美音は相手のためと思って、自分の気持ちを隠すところがある。

とにかくよく話し合うんだ。

それがわたしには、できなかった。

母さんにも、美音にも」