初恋タイムスリップ【完】

私は和室で蚊取り線香を持って、

縁側から立ち上がった成海くんを呆然と見た。



「なんで…成海くんが?」




「父さんが呼んだんだ」




振り向くとお父さんとお母さんがいた。



「美音は成海くんと、花火大会に行きなさい。

縁側から見る花火もいいけど、下から眺める大きな花火もいいもんだぞ。

父さんと母さんは二人で見るさ」


「お父さん」




お父さんは小声で
「ちゃんと話し合うんだぞ」と言った。


私は玄関に行って下駄を履いて、庭に出た。



お父さんとお母さんは二人で縁側に座っていた。




「行ってきます」



「あぁ。行っておいで」



成海くんはお父さんとお母さんに頭を下げてた。


門を開け、壁に挟まれた細い道を通り抜けて、広い道に出た。





二人無言で歩いた。