次の日。
今日は花火大会。



夕方部屋で勉強をしていたら、お父さんが来た。



「美音も浴衣を持って下に来なさい」



え…私も?





着たってしょうがないのに…と思いながらも

お父さんとお母さんのためと思って、

浴衣の入った紙袋を持って下へ行った。




お母さんの寝室に、お父さんが声をかけていた。





「母さん、今日は花火大会だ。

和室の縁側で一緒に花火をみよう。

浴衣も買ってきたんだ。

母さんの浴衣姿を、わたしに見せてくれないか?」




お父さんは優しく言った。



しばらくしたら、寝室のドアが開いた。



お父さんは浴衣をお母さんに見せた。



「この浴衣、母さんと初めてデ−トした時に着ていた浴衣の柄に似ているだろ?

探したんだ。

着てくれないか?」




お母さんは浴衣を触った。



そしてそっと、お父さんから受けとった。



「美音にも浴衣を着せてやってくれないか?」



お父さんは懇願するように、お母さんを見つめた。




お母さんが、私の浴衣の入った紙袋を持った。




「よかったな、美音。お母さんは着物の着付けができるんだ。

着せてもらいなさい。」




私はお母さんの寝室に入った。



すごく久しぶりにお母さんと部屋で二人きりになった。