家に帰り、汗びっしょり、涙でぐっしょりのまま、自分の部屋に駆け込んだ。

胸がドキドキする。


ドアのそばに、買ったばかりの浴衣が入った紙袋が置いてあった。




花火大会




私の浴衣姿なんて、あの子の浴衣姿に比べたら、きっとかなわない。







ずっと暗くなるまで泣いた。







トントン

「美音。電話だ。成海くんって彼じゃないのか?」



電話



成海くんから………




「今ちょっと出られないって伝えて…お願い」


私はドアも開けずに、お父さんに言った。



「いいのか?」




「うん」





お父さんが階段を降りていく音がした。




今は成海くんと話せない。




話したくない………