「成海くん…」


渋滞にはまったノロノロ運転の車は、ゆっくりと成海くんを通り過ぎた。



一人の女の子が、成海くんの肩をたたいた。



楽しそう…




背が高くて、スタイル良くて、髪が長くて、綺麗な人…


車はゆっくり成海くんたちから離れていく。





「お父さん、私をここで降ろして。

成海くん…彼氏がいたの」



「ここで?わかった。ちょっと寄せるから待ちなさい」



お父さんは渋滞から外れて、道の脇に車を止めてくれた。

私は蒸し暑い外に出た。



「買った荷物は、美音の部屋においておくよ」


お父さんが助手席の方に顔を出して言った。


「ありがとう」


私は勢いよく助手席のドアを閉めて、成海くんが歩いて行った駅の方向へ走って行った。