初恋タイムスリップ【完】

「座んなよ」


座んなって…どこに…


机の椅子?
床?

べ…ベッド?


いやいや、私何考えているんだろう。

心臓の鼓動があきらかに早くなってきた。



どこに座ればいいかわからず、立っていたら成海くんが机の椅子に座った。

私は外に目をやった。


ベランダ…


窓に近づいて薄いカ−テンを開けた。

高台に建っているせいか、緑の景色が広がった。


ベランダに出てみると、緑の中に線路があった。


この線路に電車が…



隣に成海くんがきた。


「ここで初めて優くんが電車っていったんだね。」



成海くんは驚いて

「なんで…あ、母さんから?」

「うん」


「成海くんて、本当に優しいんだね。話し聞いたよ」


成海くんは照れ臭そうに笑った。



「私、思っていることとか、成海くんになんでも話すから、成海くんも…話してね。


我慢とか、しないでね」


「わかった。
俺もなんでも話すようにするよ。美音もなんでもいいな」


「うん」


「私、ずっとずっとこの先もずっと、

ずっと成海くんと一緒にいたい」



ずっと一緒に…

もう二度と、自分から手放したりしない。



「俺も、美音とずっと一緒いたいと思っているよ。ずっと一緒にいような」


「うん」


二人ベランダでギュッと手をつないた。



手を引かれて部屋の中に入った。


成海くんが、私を抱きしめた。



そして

初めて



優しいキスをした。