「……え?」
私は、先輩のほうを目で示し、くすっと笑う。
先輩は意を決したようで、留美をじっと見つめている。
留美の涙は止まっている。
私はそっとその場を離れる。
ドアの近くの席からこっちを凝視し、事情が呑み込めず混乱している、蓮華の隣に座る。
蓮華の顔をくりっと反対側に手でまわす。
あううっと小さく悲鳴をあげていたが、お構いなしだ。
私も蓮華と同じ方向を向くよう、座りなおす。
この場面は見てはいけないなと思ったから。
「……お前が好きだ。長野」
「……!!先輩っ……」
後ろで2人が抱き合う気配がした。
夕焼けが、2人を照らしている姿を想像した。
きっと、その通りなのだろう。
……どうでもいいがこの2人、理解し合うのが早くないか?


