かかとを踏まないように気をつける。

下駄箱の右手にある横幅の広い、階段を上る。

正直、私の気持ちは沈んでいた。

『留美のケータイがなくなったのは、留美が自分で隠してるからじゃないのか。』

留美は友達なのに、そう、疑ってしまった。

悲劇のヒロインとか、留美が考えるはずないのに、だ。

罪悪感はぬぐいきれない。

はあ、と小さく溜息をつく。

ケータイ、見つかるといいな、留美。

ぱっと顔を上げ、前を見たときだ。


「あっ」

「あ……」


同時に小さく声を上げていた。

相手は、そこまで驚いていなかったけれど、思いっきり当たってしまった。

ばさっと音がする。

下を見ると、相手のバックが落ちて、中身が散乱していた。