『ちゃんと聞いてたか?
おれは【今のところ】って言ったんだよ。』
『………………。』
斎の目はただただ、煌炎に釘付けになっていた
『おたくの存在価値なんてこれからいくらでもつくれるのさ。』
そして彼はゆっくりと斎に手を差し出した
『なぁ、おたくの存在理由、俺が作ってやるよ。
だからおたくを雇ってるクソ主なんか捨てて、俺のとこに来ないかい?』
何故か、
振り払えなかった
斎の手は
ゆっくりと
煌炎の差し出した手に重ねられる
するとニマリと少年は笑った
『今日からよろしくなぁ、えーっと……』
『…斎、です。』
『斎!』

