まだ齢六歳
しかし、六歳とも思えぬ悲しげな笑みを浮かべて幼子は彼は見下ろした
『お前はなんのために生きてんの?』
『わ、が…我が主のた、め。』
『どうして?』
『それ…は。』
『それは?』
『………………。』
彼は生まれたころからその主に仕えるようにしつけられてきた
時には鞭で打たれながら、三日間なにも食事が与えられないこともあった
生まれたときから刻み込まれていた主と駒の関係は彼の存在を蝕んでいた
『ほらな、やっぱお前つまんねーよ。』
『あ……。』
『お前はなにもない。
自分が体の中にいない。
心の中にすらいない。』
『あ、…ぁ。』
『今のところ、お前の存在理由なんてあるの?』
『あ………………ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…!!!!!!!!!!!!!!!!!』

