「黒兼丸殿、昨年の優勝者か何やら知らぬが今年は私、幸路之介めが頂きますぞ!」
「刀が泣いている…。
そうかそうか、お前はこいつを斬りたくないのか。」
「おい!
聞いているのか!?」
黒兼丸と呼ばれる男ははらはらと涙を流しながら刀に話しかけている
「あぁ、すまないね…。
俺のせいでお前にまで迷惑をかけて…。
この大会に出るのはあの方の命(メイ)なんだよ…。
あぁ、本当にすまない、生きててすまない…あぁ…。」
「だから何をいっているのだ!?
相手は私だ、お主こちらを見よ…!」
「機嫌を悪くしないでおくれ…。
俺はお前がいなくなってしまったらこの世なんて生きている価値がない……。」
「おい!!!!!!
だから何を…!!!!!」
「聞こえないの?」
唐突に
刀に語りかけていた黒兼丸の目がぎょろり、と幸路之介に向けられる
その瞬間に先ほどまで騒いでいた観客もしん、と静まりかえった

