「駄目よ。考え無しに鞄の口に手を近付けたりなんかしたら。むしゃむしゃ食べられてしまうわよ」

「えっ、」

 僕は慌てて、蔓をくわえた鞄から手を引っ込めた。それを見て、おばあちゃんは楽しそうに笑った。
 からかわれたみたいだ。
 僕は真っ赤になった。
 けれど、おばあちゃんが鞄の中を僕に見せてくれたことは無い。一体何が入っているんだろう。
 僕の好奇心は尽きない。
 それを見透かしたように、おばあちゃんは意地悪な笑みを浮かべて僕の手を握った。

「さぁ、帰りましょうか」