繁徳は浪人生活に入ってから、髪を伸ばし始めた。 といっても、やっと前髪が目にかかる程度に伸びたほどだ。 もう少し伸ばして、金色のメッシュをいれようかと思っていた。 毎朝シャンプーしていたし、それなりにムースで整えて、髪形には気をつかっていた。 見ず知らずの年寄りに髪型をけなされたからといって、さほど気にするほどのことはない。 と頭ではわかっていたけれど、面と向かって言われると、やっぱり気になる。