千鶴子は、天国へ行った。
たぶん、きっと。
彼女は天国で愛する人達と再会し、地上でバタバタやってる繁徳達を、楽しそうに笑って眺めているに違いない。
繁徳に秘密を打ち明けて、すっかり気持ちが軽くなって、救われているに違いない。
(大丈夫、誰にも言わない。
千鶴子さんと俺だけの秘密にしておくよ)
繁徳は増田の奏でるジャズの調べが、天国まで届いていることを願った。
彼の想いも、救われたに違いない。
(舞と二人、出会った偶然を大切に、いつまでも一緒にいたい。
本当に自分に必要なものを見失わずに生きていきたい。
そして死ぬまで舞に愛される男になりたい)
繁徳は、千鶴子の想いを真っ直ぐに受け止めた。
千鶴子にもらった<もてまん>の称号を胸に。
そして、
いつか舞と二人、
もう一人の千鶴子が眠るペール・ラシェーズの墓地へ、
会いに行きたいと切に願っていた。
<完>



