「さあ、二人はお帰りの時間ですよ。
手術が終わって、この土日には面会謝絶も解けてると思うから、またその頃お出でなさい」
「千鶴子さん……」
「ウララさんの言うことは、ここでは絶対だよ。
あたしは大丈夫。
また土曜にでも来ておくれ。
その時、舞さんの報告、楽しみにしているよ」
二人は、千鶴子の言葉に背中を押されて病室を出た。
「土曜日にまた会いましょう」
高木が二人に声を掛けた。
舞が不安そうな顔で、彼女に尋ねた。
「あの……
千鶴子さん、カテーテル治療で治るんですか?」
「あたしは看護士だから、治療に関する詳しいことを説明する立場にないし、病状に関する秘主義務もあるの。
でも、心配よね?」
「ええ、とっても。
私にとって、千鶴子さんはとても大切な人なんです」
暫く間を置いて、高木が口を開いた。
「あの年齢だから、完治するって訳にはね。
二度の発作で心筋も弱ってるし。
でも、カテーテル治療で今の苦しい状態からは脱出できるわ。
あとは、次に発作が起きないよう、安定した生活を送る手助けをしてあげることが大切よ」
「「はい」」
何故か二人とも同時に頷いていた。
高木は、そんな二人を見て微笑ましさを感じる。
「岩下さんが、あなた達を待ちわびていたのが分かる気がするわ……」
彼女は笑いながら、バイバイと小さく手を振って、二人を見送ってくれた。



