繁徳が予想した通り、千鶴子の病室はナースステーション正面すぐ右の部屋だった。
六〇八の扉を高木看護士が静かに引き開ける。
二人も続いて部屋に滑り込んだ。
八畳ほどの部屋の中央に窓と平行にベッドが置いてあり、その周りにはモニターに緑の電子文字の浮かんだ機械がいくつも置いてあった。
<ピッツ、ピッツ、ピッツ>と電子音が部屋に響く。
高木は、真直ぐにベッドへ向かうと、はっきりとした優しい声で千鶴子に語りかけた。
「岩下さん、お加減いかがですか?
おまちかねの舞さんと繁徳さんですよ」
ベットの上の塊が微かに動いた。
「あんまり長い時間は、お身体にさわりますからね。
十五分ほどしたら、見に来ますよ」
そう言うと彼女は、今度は二人の方に振り向いた。
「様子見ながらね、無理させないで。
じゃあ、十五分ほどしたら見に来るから」
にっこりと微笑んだその笑顔は、正に天使のようだった。
(ごついなんて思って悪かったな)
繁徳は、見た目でそんな風に思った自分が恥ずかしくなった。



