もてまん


「舞、良く聞けよ。

千鶴子さんの病室は、殆んどナースステーションのまん前だ。

だから、タイミング見て一人ずつ滑り込むしかない」


「止められたら?」


「その時は、その時だ。

どちらか一人でも会えれば容態も判るし、な」


「分かった」


舞は緊張した面持ちで頷いた。


「じゃあ、六階に上がろう」


繁徳と舞は、再び上に上がるエレベータに乗り込んだ。

二人の乗ったエレベータには、白衣を着た看護婦が既に一人乗っていた。


(しまった、一台乗り過ごせば良かったか……)


と思ったが、後の祭り。

三十前後のその人は、何だかチラチラと二人の方を確かめるように見ている。

六階で、三人は降りた。

ナースステーションに向かって歩く彼女の後を、二人は次の行動に移るのを躊躇しながら眺めていた。

すると、突然、彼女が振り向いた。


「もしかして、あなた達、繁徳くんと舞さんじゃない?」

「えっ、何で分かるんですか」


思いがけない展開に、繁徳の声が上ずった。

舞が繁徳の腕をギュッと掴む。