もてまん


繁徳はメモを見ながら考えた。


(面会謝絶って、相当危ないんだろうか?)


五階で下りて、病室の並びを確認して、階段で六階に上がった方が良いだろう。

ナースステーションというのは、だいたいエレベーターの近くにあるものだ。

途中で止められたら、それこそ無駄足踏んでしまう。

繁徳は、絶対、千鶴子に会う覚悟でいた。


大通りから車が路地を曲がると、道の両側に病院らしき建物の群れがひしめいていた。

二人を乗せた車は道を折れ、タクシー乗場らしきロータリーに入って止まる。

メータを見ると、〈千八百四十円〉の表示。

繁徳は、握り締めていた千円札二枚をそのまま差し出した。


「おつり、百六十円ですね」

「ありがとう」


繁徳がお釣りを受け取り、車から出る。

舞が後に続いた。


「舞、西病棟Bだ」

「うぅん、一杯建物あるね。どこかに案内板ないかな?」


二人して、くるりと辺りを見回す。

正面玄関脇に敷地の案内図が見えた。


「あった」


と舞が、繁徳の腕を引っ張った。


(俺にだって見えてるよ)


繁徳は慌てる舞に引っ張られるように前に進んだ。