もてまん


増田は、繁徳の言葉を聞くと、レジ脇にあったメモに何かを走り書く。

そして、レジを開けると、千円札を何枚かつかみ、メモと一緒に繁徳に手渡した。

「これが、千鶴子様の病室番号です。

エレベータで六階に上がって、病室に直行なさい。

病室は面会謝絶になっていますから、見つからないように。

面会時間は七時までですが、夕食が五時過ぎから始まります。

その時間前後は目立ちますからね、気を付けて。

そこの大通りからタクシーを拾ってお行きなさい、お金はこれで足りるでしょう。

千鶴子様もあなた方に会いたがっておられました。

行ってさしあげてください。

さぁ、早く」


増田は、早口にそう言うと二人を外へと促した。


「あの……

ありがとうございます」


舞が小さく頭を下げた。

繁徳はお札とメモを握りしめたまま、舞の手を引いて階段を駆け上がった。

歩道を横切り、大通りに身を乗り出す。

タクシーを見つけて、大きく手を挙げた。