そして繁徳の手を取ると、その手を自分の腰に引き寄せた。

二人の身体が近づく。

舞の瞳に繁徳が映る。

繁徳は、導かれるままに、舞の唇にそっと自分の唇を重ねた。

舞の唇が吸い付くように、繁徳の唇に押し付けられる。


(嗚呼、舞……)


繁徳は両腕で思い切り舞を抱きしめた。

舞の鼓動が、繁徳の胸に伝わる。


「舞……」

「シゲ、大好きだよ」

「嗚呼、畜生、受験生じゃなけりゃぁなぁ……」

「ふふ、そうだね。

でも、あたしはキスで十分。

女はみんなそうだよ」

「まさか」


繁徳は驚いて、舞の顔を覗き込んだ。