「言い方が悪かったね。

電話してくれて、嬉しいよ。

年甲斐もなく照れちまってね、ほんと、嬉しいよ」


急に話し方が柔らかくなって、繁徳は少しばかりドキリとした。


「あの……」


繁徳はなんと返事をしていいものやら、言葉に詰まる。


「今度の土曜の午後、家にこないかい?

いやなに、取って食おうって訳じゃないよ。

『もてまん』の話をしようじゃないか」


「はぁ?」


あまりの急な展開に、思わず間抜けな声を出した。


「二時でどうだい?

あたしんちはあの大通り沿いのロレアルマンションの六〇一号室だよ。

入り口で六〇一を呼び出しておくれよ、ドアを開けるから。

じゃ、土曜日に」


そう言うと、千鶴子はガチャリと電話を切った。