イチさんは、可愛くて愛らしいけど……。

翔は正反対。

甘いのは顔だけだよ。




「…なにしたら良いの?」


こんな生活、少しの辛抱だよね……?!

仕事に集中!

なんたって、今のわたしは漫画家の偽恋人なんだし!




「まず、夕飯作ってくれ」

「……それ以外は?」

「お前料理、できないのか…?」


翔から目を逸らすわたし。




……料理、できませんよ。
はい。

しょせん、ただのヲタクですよーだ。





「はあ、……仕方ねぇな。彼女は料理が苦手、って設定でいくか、一葉」

「あいよ〜〜」


申し訳ないですね…。

だめな彼女で。





「夕飯は俺が作る」





……結局、この日の夕飯は翔が作ることとなった。

わたしは翔の隣でお手伝い、ってのが初仕事。



料理、勉強します。





「マコ、何食べたい?」

「!?何、急に!!キモいよ」


いきなり甘ぁい態度になる翔。

翔の本性を知らない女の子だったら、だれもが落ちると思うな…。




けど!
わたしは、翔の本性知っちゃったもん!!

こんなのは、漫画用のキャラなんだからっ。





「んー、じゃあ。カルボナーラがいいなぁっ」


ふふーん。
カルボナーラなんて、さすがに翔には作れないでしょ。

威張らないでもらわないとね。





「マコはカルボナーラが好きなのか?」

「大好きぃ〜〜!」

「一葉、女はパスタ好き」

「おっけえ!」


な……?!

全ては漫画のためってか。