「実はさぁ、今俺達、少女漫画に手を出そうと思ってんだ!」


さっきまで笑顔でわたしたちの会話を聞いていた一葉さんが、話しにはいってきた。

ずぅっと笑顔を崩さない一葉さん。

……綺麗に笑う人だな、と思った。





「はあ。…で、それとこれとはどんな関係が?」

「ほら、ファンなら知ってるだろうけど、俺達少年漫画しか描いてなかったじゃん?」


あ、はい。
そうですよね。

で?





「だから、女の子の気持ちとかわかんないから、真琴ちゃんに教えてもらいたいんだ!!」

「はい?!」


なんでわたしが?!

ってか、どうやって?!!





そんなわたしの気持ちを読んでか、翔は口を開いた。


「俺とお前が、漫画のストーリー通りに行動するんだよ」


……翔が言うには、翔は主人公役でわたしがヒロイン役。

そして、わたしたちは漫画通りに行動する……。




まるで、恋人のように。






「な!ありえないし!!何でわたしが、この人の彼女にならなきゃいけないわけ?!」


すっかり敬語は、どこかにいってしまった。

もう、そんなのはどうでもいいよ!!


納得できないッ!





「あほか、別に付き合えとは言ってねえだろ!」

「へ?」