両目から零れ落ちそうになる涙を必死で堪えながら謝ると、兄様はそのまま道場の方へと歩いて行った。 私の家は、代々弓道協会の会長を務める名家。 そのため、私も物心ついた時から祖父に弓道を教わっていた。 『蓮は良い目をしているな…。真っ直ぐで歪みのない目だ』 『おじい様?』 『蓮、お前は弓が好きか?』 『はい』 『そうか…。蓮、いつかお前に”樋山”の名が重くのしかかることになる。それでも、お前は自分の思う通りに生きなさい』