一旦梓が顔を上げると、落ち着いた声で皆に問い掛けた。


「大会が近い以上、出来れば俺たちでこの問題に対処したいと思うが、事が事だけに反対する者がいたら今の内に言って欲しい…」


………………


師範室は静まりきって、誰も反対する人は居なかった。


「賛成してくれてありがとう…部長として礼を言う」


梓が皆に向かって頭を下げる。
皆は初めての光景に少し戸惑っていたけど、梓の部を思う気持ちに共感してくれていた。


「梓、やってやろうぜ!!」


「俺等に喧嘩売った事、後悔させてやるよ!」


「霧嶋、もう頭上げろ…」


皆の言葉に梓が顔を上げると、その表情はいつもより一層締まっていた。


「これからは何が起きるか予測が出来ない、特に登下校時や一人になる時は警戒を解かない様に。
一応、合宿の名目で宿舎を借りられるか聞いておくが、それまではなるべく三人以上で行動する事と、それぞれ後輩への目も光らせておいてくれ」