そう、入学式のときに見た
かっこいい人だ。
「あ…」
思わず声に出してしまうと
案の定、杏里が反応した。
「どうしたの?
好みの人でも見つけたぁ~?」
といいながら
私の見ていた方を
ひたすら見まくっている。
…最悪。…
杏里はいつも、
私の恋に首を突っ込んでくる。
いちいち、
どんなふうにすればいいか、とか
何型でどんな性格で
何が好きか、
何が嫌いか、
まで詳しく探って教えてくれる。
ちょっとぐらい間違ってても
おかしくないんじゃないかと思うけど
いっつもその情報は
当たっているのだった。
「あ、あの人でしょ。」
杏里はそういうと
1人の人を指差した。
そう、私がかっこいいな
って思ったあの人だ。
「何~?
あの人に惚れちゃったぁ~?」
と、杏里は私を茶化してきた。
でも、実際惚れたわけではない。
「そんなわけないじゃん。
惚れてなんかないも~ん」
「それより、早く席に着かなきゃ、
先生来ちゃうよー」
と、話をごまかして席に着いた。
