2010年2月28日
―西浅井警察署―
午後10時43分

結局
北川自ら指揮をとった捜索は
薄暮の中、5時をもって打ち切りとなった

取り立てて成果はなかった

もっとも
捜索と言っても生存者を探すわけではなく
事実上遺体の、それも切断された(と思われた)その他の『部位』を探す―

という作業の性格は
現場で捜索に関わった全員の知るところであり

だからこそ
夕方に捜索打ち切りの決定を北川が下したことに
誰ひとり不満を言わなかった

不満があった人間は
捜索打ち切りの決定をした北川自身だった

先に帰らせた松下から
『死体損壊器具の特定は現状では不可能』
だと中間の報告を受けていた