『いつから岐阜に?』
北川が尋ねた


『ん?』

『忠宏は、たしか入間(基地)だったんじゃなかったか?』


友人の問い掛けに
加藤は意味ありげな笑みを浮かべた

『達明は、俺の所属先を知ってるだろう?』
―所属部隊が変わったわけではない

加藤はそういう意味の返事をした


おおよその見当は付く

大体、忠宏が自分から北川を訪ねる時は
―自慢したいことがあるからだ

と北川は理解している

"航空開発実験集団"
それが加藤一佐の所属部隊の名前だった


『プシュッ!』

プルトップを引きながら

あたかも新しい玩具を手にした
いたずらっ子のようなまなざしで
缶ビールをあおりながら加藤が話した