手足が欠損及び損傷した水死体が上がる

そういう殺人事件が
県下で既に数件発生している

説明と合わせて
何枚かの写真がスクリーンに映写される

『ほう』
或いは『うお』と言った溜息で会議室はざわめいた。


北川は無言だったが
―これは"水死体"と呼ぶべきシロモノじゃない

そう感じた。

『手首がなくなった片腕』
『腹から下が切り取られたような水死体』

それは最早"猟奇"と呼ぶべきモノで
実際、映写される『ソレ』についての説明には

"猟奇的"という形容が度々使われていた。


被害者の身元は半数以上は確認されている

なぜなら
彼等のほとんどは県外から自家用車で来ている

そのため
死体発見現場の周辺に
被害者所有の車両が駐車されたままであるケースが多かった


したがって
巡回する"自ら隊(自動車警ら隊)"がこういう主なき車両を検索することで

ある程度
被害者の身元を推測出来るからだったが


―似ている
北川は、ほとんど瞬間的に
そう感じた。