『北川達明 警視
西浅井警察署 刑事課長』
辞令が下りて以来
この若すぎる着任が

北川の義父が
先任の県警本部長であったことと
無縁でないことは周知の事実だった。


元来
所轄署などというのは
『閉ざされた社会』だから

こういう話題はすぐに流布する。

当然
北川の刑事課課長としての
『力量』は
彼の着任前から疑問視されていたし

こういう『出世』を
快く受け入れないのは世の常でもある。


松下自身
『冗談やない』

そういう反発心のようなものがあった

はずであった。