(なんだ?これは)

指先に挟んだまま
FRPの裂け目から引き抜いたモノは

緑色がかった半透明の
小さな切れ端だった。

切れ端といっても
―固い
と北川は感じた。

差し込んだ光にかざすと
不規則な同心円状の模様がある


『北川課長』
その時背後から松下が呼んだ

振り向くと
松下警部補が近付きながら
『ブラックバス釣り、しはりますか?』

『ん?』

『一通り捨男さんから話は伺うたんやけど』
―あのボートの所有者が、釣りをしていた時間帯―

について考えていたらしい。