僕の彼女は苺味




春休み前の終業式も終わり放課後になった今、帰宅するどころか靴箱にさえ辿り着けないでいる原因は………




「挨拶、大変そうだったね。」
「お疲れさまー。」
「来年から頑張ってね。」
「私達応援してるからっ!」
「よかったこれ、食べてください。」
「私も!ケーキ焼いて来たんです!」
「一悟くん、クッキー好きだよね?」
「先輩っ、チョコも好きですか!?」




身動きがとれない。






どれくらい経ったんだろう。


気がつけば両腕も鞄も制服のポケットも食べ物が占めている僕と少し離れた位置から僕を眺める奏太だけになっていた。



「奏太。ちょっと来て。」


「ん?」


「何十個ほしい?」


「何十個って…、単位おかしくない?」


「いいじゃん。で?何十個?」


「皆コモの為に作ってきてくれてるんだぞ?そんなのいらない。つーか、貰えない。」


「残念だなぁ…。玲ちゃんからのもあるのに…。」



横目で様子を伺うと悩んでいる奏太の姿。



奏太の片思いの相手、"玲ちゃん"。



「どうする?」



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