「おいひかる?いくぞ」



尚也の声にハッとして現実に戻される



「ごめん、今行く」





積もったばかりの雪が

二人分の足跡だけを残す




隣にならんだ赤と黄のジャンパー




ポケットに手をつっこみながら話す尚也の鼻先はほのかに紅く




白い息が顔をまとう



「やっぱ冬の見回りはさみーな」




「そうだね…」




優との一件以来から
一週間がたったこの日は
やたら強く雪が降った