人影のない屋敷の裏側で腕を組み大木に寄りかかるジーク。
何を言っても通してくれそうにない頑固な門番。
正面が駄目な為裏に回ってきたジークは、鋭く尖る先端を持つ頑丈で背の高い柵を見上げ溜め息を吐く。
誰がこんなものを建てたのかと腹を立てながら彼は何故か突然準備運動をし始めた。
準備が整ったのか、最後にゆっくりと深呼吸すると助走をつけ力強く地を蹴る。
高々と飛躍した彼は片手で柵を掴み反動をつけると何の危険もなく優雅に柵を飛び越えた。
「はぁ……」
地面に着地した彼は深く息を吐くと屋敷に近づき、数多くある窓の中の1つへと手を伸ばす。
その窓が何時も開いている事を知っていた彼は音を立てずに窓を開けた。
辺りを見回し誰もいない事を確認すると屋敷に侵入する。
屋敷の構造をよく知る彼は誰にも出会す事なく無事二階へと進む事ができた。
このまま何事もなく進めるのではないかと余裕に思えてきた彼だったが、それも束の間。
突然目の前の扉が開き、部屋から男が姿を現した。
「えっ……?」
「あ……」
驚いた2人は顔を見合わせ互いに動きを止める。
声を上げ騒ぎになる前に何とかしなければと動きを見せるジークだったが、近づいてくる足音を耳にし顔をしかめた。
近づく足音は4つ。
例え彼の口を塞いだとしても、残りの4人の内の誰かが声を上げてしまう。
此処まで来て退く訳にはいかないと眉を潜めていると…
「なっ……!?」
戸惑うジークの腕を掴む兵士。
囚われるのではと思ったジークは抵抗するが、暴れる彼を兵士は無理やり部屋に押し込んだ。
「何かあったか、新人?」
「あ、いえ、ちょっと忘れ物を……」
乱暴に扉を閉めた執事に声をかけたのは仕事に向かう兵士達。
扉を背にして立つ彼は、動揺しながら微笑んだ。

