驚いたように目を見開き足を止めた彼に疑問を抱きながら、もう1人の兵士も彼の視線の先へと目を向ける。
「ロ、ローグ様!」
視線の先にいた人物を目にし、彼も同様に目を見開く。
そこにいたのは、ベイン・ローグ。
黒髪を銀色に染めた鋭い黒い瞳を持つ男性。
フェルノーク国という最近力をつけてきた小国の王であり、スゥール国の王女シェノーラの婚約者である。
先程の話を聞かれたのでは…
そう思った2人は鋭い眼差しのローグを目にし硬直した。
冷や汗が額に浮かび、生唾を呑む。
心臓は物凄い勢いで脈を打ち、恐怖からか身は震えだしていた。
「明日朝一で此処を出る。用意しておけ」
「……は、はい!」
ローグが口を開いた瞬間、2人は肩を窄ませ目を瞑る。
しかし、彼の口から出た言葉は想像していたものとは異なり、一瞬間をあけた後返事をすると頭を下げた。
聞こえていなかったのだろうかと一安心した兵士2人は何処かへ向かう彼の後ろ姿を見送りながらホッと胸をなで下ろした。

