窓辺の席に座ったレグナード。
隣国の王子がこんな所にいていいのかと疑問に思っていると、隣でレオンが納得するように呟いた。
「何処かのお偉い所のお嬢様だとは思ってたけど、この国の王女様とはな」
「あれ、言ってませんでしたっけ?」
背もたれに寄りかかり頭の後ろに腕を回すレオンの言葉にコウガは頷く。
すると彼等の様子を見て呑気な声でジークが言った。
何時の間にか二階から降りてきていたジークはクレアの隣に立つ。
とぼけた様に言う彼はクレアの食べかけのステーキを奪うと口に頬張った。
最後の残りをフォークで刺そうとするが、そのフォークの先は目的の物には刺さらず陶器の皿とぶつかり鈍い音を立てる。
フォークの柄を力強く握り締め怒りを露わにする彼女は、楽しみにとっていた最後の一切れを奪った犯人につかみかかった。
「……き、貴様!」
ジークの胸倉を掴むと手にしていたフォークを首に突きつける。
赤い瞳で睨まれるジーク本人は謝る気もないのか舌を出してヘラヘラと笑う。
「クレア落ち着いて」
「ちょっと、料理はまだあるんだから」
煌めくフォークの先を目にしコウガは止めに入り、フィーヤは店で暴れるなと言う。
呆れたように溜め息を吐くレオンは料理を口に運び、椅子に深く腰掛けくつろぐレグナードはその様子を観察していた。
何年も顔を合わせていなかったジーク、レグナード、フィーヤの3人。
久々の再会に嬉しいのか宿は賑わう。
話が盛り上がり微笑む3人だが、心の奥底ではこの場にいないシェノーラの事を心配していた。
彼女は今、本当に幸せなのだろうか…
彼女の幸せを望む彼等は、そんな疑問を胸に抱きながらこの時を過ごしていた。

