彼の名はリオン・ディアルド。
右目は銅、左目は青のオッドアイを持つ少年。
肩までのエメラルドの髪を緩く結び、帽子をかぶる彼は女の子のような可愛らしい顔立ちをしている。
「それにしても、どうして貴方みたい人がこんな所に?」
「そ、それは……」
人々から神と崇められる彼が、こんな山奥で何をしているのだろう。
それも幼い子供たった2人で。
コウガの問いに答えずらいのか言葉を詰まらせ目を反らす。
その時、
「リオン様ー!」
背後から少年の名を呼ぶ声がした。
声が響いたかと思うと、猛スピードで駆け寄って来る人物。
ツインテールに結んだ髪を揺らしながら近くにいたレオンを押し退けると、何の迷いもなく少年に抱き付いた。
「リオン様、怪我はないですか!?大丈夫ですか!?」
一度抱き締めた後身を離すと、肩に手を乗せリオンに目を向ける。
猫のような丸い瞳で心配そうに見つめると、怪我はないかとリオンの全身を見渡した。
一通り全身を見渡し終えると、ホッと安心したように息を吐く。
「僕は大丈夫です。それより、イースこそ無事ですか?」
「イースは頑丈ですから。それよりもリオン様、無事でなによりです!」
胸を叩いて見せる少女。
そんな彼女に穏やかな表情を向けるが、首に残る赤い痣…
先程の戦闘で受けた怪我を目にした瞬間、悲しそうに眉を潜め、瞳に映った痣から逃げるように目をそらす…
一方少女は喜びの笑顔を浮かべ再びリオンに抱き付いた。
2人のやり取りを口を挟まず見つめるコウガ達。
少女はそんな彼等に気づいたのか、リオンから離れるとコウガと向き合った。
「助けて頂きありがとうございます!お陰で命を救われました」
コウガの手を取るとブンブンと上下に振る。
喜びを目一杯に表現する少女に呆気に取られながらも、にこやかに微笑むのだった。
ツインテールにしたピンクの髪にラベンダーの丸い瞳。
箒を武器とする彼女の名はイース・ヴェル。
常にリオンの傍につく、自称神も認めるリオン様の守護。

