昼間食事をした店に寄り、世話になった男性に治療を受けた。
彼は治癒の力を持っており、怪我を追った彼女を見るとすぐさま治療を始めた。
酷い傷だと顔を歪めるが、何とか傷口は塞がったようだ。
彼に案内され、近くの宿に泊まる事に。
陽が暮れていた為、1つしか取れなかった部屋。
その部屋のベッドに彼女を寝かせ、外へ出る。
廊下に出ると、扉の傍に座り込むレオンの姿があった。
疲れていたのだろう、彼は既に眠っていた。
腕を組み俯く彼からは、穏やかな寝息が聞こえてくる。
その隣に腰を掛けると、何かを思い出すように遠い目をする。
重い溜息を吐き俯いた。
瞳を閉じると疲れがドッと襲ってきて、そのまま睡魔に身を任せた。
何時の間にか眠ってしまっていた2人。
息を吐きながら伸びをすると、大きな欠伸をするレオンが目に入った。
互いに挨拶を交わすと、部屋の扉を軽くノックする。
だが、中からの返事はない。
数回ノックを繰り返すが、やはり反応無し。
不思議に思い静かに扉を開けそっと中を覗く。
どこからか入ってきた風が、彼の茶色い髪を揺らした。
開いた窓。
そこから迷い込んでくる爽やかな風。
優雅にカーテンは揺れ、登ったばかりの陽の光を部屋へと導く。
整えられたベッドの中に彼女の姿は無かった。
開いた窓から出て行ったのだろうか。
窓枠に手をつけ下を見下ろしす。
この部屋から地までは結構な距離がある。
「またあいつ、礼も無しに出て行きやがったのか」
扉に背を預け腕を組むレオン。
少し腹立たしそうな彼に微笑むと、窓を閉め部屋を出た。

