頬の血を乱暴に拭うライアはスティングへと鋭い眼差しを向けていた。
そしてまたスティングも、その瞳に臆する事無く彼を真っ直ぐに見つめる。
「俺は間違っていたんだ。今度こそはお前を護らなければならないと、そう思っていたのに俺は、お前をちっとも護れてはいなかった……」
悲しそうに遠い目をするスティング。
彼のその表情と言葉に目を細めるライアは苛立ちを覚え始める。
「僕を護るんだろ?だったら何故其処に居る?どうして僕と敵対する?護るとそう言うのなら、君は僕に従うべきじゃないのか?」
「否、それは違う。それではお前を護る事も、救う事すらも出来やしない。闇に身を投じ悪の色に染まるお前を、その暗闇から光へと導き正しき道に誘う。それが俺の役目であり、俺がやるべき事なんだ」
自らの意見を否定され、更には歩んできた道さえも拒まれる。
グッと拳を握りワナワナと身を震わすライアは身体の力を抜きフッと息を吐く。
「…もう良いよスティング……君の話なんか聞きたくない……そんな馬鹿げた話に時間を費やしていられる程、僕と言う人間は心が広くはないんだよ……」
キッと睨むと共に現れた鋭い刃。
古びた床から突き出た幾本もの刃はコウガ達7人の身を襲う。
「っ……!」
地を蹴り飛躍した7人はその刃から逃れるが、枝分かれするように現れた新たな刃が彼等の後を追い伸びてくる。
「っの野郎!」
コウガとスティングは思い切り振り下ろし剣で刃を斬り崩し、並外れた運動神経を持つレオンは鋭い刃を蹴り砕く。
銃を撃つレグルは伸びる刃の軌道を変え、シェイラを抱えるジークは器用に刀でそれをいなす。
刃を見つめるクレアは無表情のままその刃をトンと蹴り宙を舞い着地。
7人それぞれが危なげなく身を襲うその攻撃から回避し身を守ったのだった。

