Blood†Tear


この状態から抜け出そうと身をよじるが、その度に新たに走る激痛。
歯を食いしばりその痛みに耐える。



 「君は俺にはかなわない。昔からそうだったろ?」


壁に貼り付け状態にされたクレアにゆっくりと歩み寄るフリード。

そんな彼を赤い瞳で睨み付けるが、今の彼女の睨みは何の恐怖も与えない。



 「未だに正気でいるなんて、よく耐えてるね」


 「…うるさい……」


、「あの時狂えば良かったのに」


 「うるさ……っ…!」



クレアの正面に立つと、肩に刺さった短剣の柄に手を添えグッと押し、彼女の肉を裂いていく…
額には汗が浮かび、息は荒くなる…




 「一度狂ってみなよ。そうすれば、この気持ちもきっとわかる」


そう言うと、傍に転がっていた死体の腕を掴み自らの口に運ぶ…

そして血を口に含むと、クレアの顔を動かないように掴んだ…




 「…止めろ……!止め……!」


何をするのか悟った彼女は、首を振り抵抗するが動けない…

フリードはクレアに顔を近づけ、唇を合わせる…


動かない身体で彼を突き放そうとするが、それも叶わない…





2人の唇から一筋の血液が流れ出ると、今まで抵抗していた彼女が突然動かなくなった…


それを確認すると唇を離し、左手の指をパチリと鳴らす…


すると彼女の身体に刺さっていた短剣は姿を消す…


地に座り込み顔を伏せていた彼女は、ゆっくりと立ち上がり顔を上げる…

そして前方に通りかかった2つの人影を目にすると地を蹴った。

猛スピードでその人影に近づくと、瞬時に出した大きな鎌を振り下ろし、その人物を真っ二つに切り裂いた…


噴き出す大量の血液…
あまりにも突然の事に声を出すことも無く地に倒れる…


隣にいた女性の肌に大量の血液が降りかかる…


地に倒れる人物に、目の前で身の丈程ある巨大な鎌を手にする女性…


鎌の刃からは赤い雫がポタポタと滴り落ち、俯きぎみの彼女の唇は笑っていた…


 「い、嫌ーー!!」


一面に広がる血の海を目にし、恐怖に怯え力無く座り込むと、耳を裂くような悲鳴を上げた…