「あっぶないなぁ……」
木の幹に背を預け高みの見物を決めていたマットの頭上にめり込む銃弾。
本来なら彼の額に風穴が空く筈だったのだが、銃弾の軌道はそらされた。
ポケットに両手を突っ込んだまま交わそうともしなかった彼を救ったのはアリュー。
転がるナイフを足で弾くと左手に取り、それを投げ銃弾の軌道を少しそらしたのだ。
再び鳴り響く銃声。
今度の標的はアリュー。
銃声は連続で5発。
アリューはアンバーの胸から刃を引き抜くとその銃弾を弾き返す。
4発目を防ぎ次が最後となった瞬間、アリューは地を蹴りマットの前に立ちふさがる。
そして最後の銃弾は彼女の腹に風穴を開けた。
4発はアリューに、5発目はマットに向けられた攻撃。
アリューはマットを守る為に銃弾をその身に受けたのだ。
「んー……まだいけるね」
座り込む彼女を調べたマットは軽く言うと、彼女の髪を掴み立ち上がらせる。
「しっかりしろ、アンバー」
「…っ……ぅっ……レグ、ル…何故……?」
胸から血を流し倒れるアンバーの傍に駆け寄るレグル。
彼を瞳に映したアンバーは苦しそうに息をしながら問う。
何故此処に居るのかと。
夜中に1人、何も言わずに出て行った彼女。
自分が彼等の傍に居れば、彼等にまで危険が及んでしまう。
だから彼女は彼等から離れた。
なのに彼女を探し、こうして助けに来た彼を不思議に思うアンバー。
「回復するまで、大人しくしてろ」
彼は問いに答える事なく、彼女の頭を撫でると立ち上がる。
そして前方のマットを睨み付けた。
「えっと確か、ラグナレア国の王子様」
銃口を向けられたマットは眼鏡を押し上げ目を細めるとアリューから手を離す。
すると彼女は猛スピードで駆け出しレグルに斬りかかった。
マットからアリューへと標的を変え銃を撃ち、振り下ろされた刃を後退しながら交わす。
連続して銃を撃ちながら地を蹴ると距離を取る。
一方、アリューは放たれた銃弾を的確に刃で切り落とす。
レグルは舌打ちをうちながら銃を両手に持ち構えると狙いを定めた。

