Blood†Tear


部屋を訪れたコウガは傍の椅子に腰を掛け、ベッドの上のクレアに話しかける。



 「傷、まだ痛むか?」


 「この位、どうって事ない」


嘘だ。
骨は折れ、腹部には背にも及ぶ深い傷を負っているると言うのに、何ともない筈がない。

彼女は腹部の怪我を隠すように布団を胸まで押し上げた。




 「骨が折れてるんだろ?あまり無理するな」


 「怪我の治りは早い方だから、肉を食べれば直ぐ治る」


 「肉って……」


他人に心配される事に慣れない彼女は顔を伏せ、独り言を言うようにぼそりと呟く。


彼女のその言葉を耳にしたコウガは呆れたように言葉を漏らす。


この場に及んで食い気が勝つとは、頭の中にはそれしかないのかと疑ってしまいそうになる。





 「肉など無いぞ、此処には」


部屋の入口から聞こえてきた声に目を向けると、リオンとセルビアの姿が其処にあった。


今のこの村に肉はないと言うセルビアは腕を組み、隣のリオンは目を覚まし眠そうに目を擦るイースに優しく微笑んだ。





 「建て直し始めたばかりのこの村に、肉などある筈がないだろう」


 「そうか……だが、他の食糧ならあるんだよな?」


 「そうですね。種類は少ないと思いますが、野菜や果物なら手軽に手に入るかと」


冷たく言うセルビアに対し、コウガの問いに優しい声音で答えてくれたリオン。


気を利かせてくれた彼に微笑むと立ち上がる。





 「村の様子を見て来るついでに、何か探して来るよ」


 「じゃあ、俺も行くか。体を動かしたいしな」



コウガがそう言うと、寝ぼけたイースの頬を突つくレオンは伸びをする。