コウガ達が居るレンガ造りの店が見える丘の上。
そこにはフードを目深に被り、黒いローブを身に纏った2人の人物がその店を見つめていた。
「……バレたみたいだな」
そう言うと、長身の男はレンガ造りの一軒家に背を向け歩き出す。
だが、もう1人の細身の人物はその場から動かない。
「…ライア」
振り向かず顔を後ろに向け名を呼ぶが、ライアと呼ばれた人物は未だ動かず。
「……会いたい…」
蚊の鳴くような声でそう呟いた。
その時…
「あぁぁーー!!」
唸るような声…
上空から感じた殺気…
何者かがライアに攻撃を仕掛けてきた…
地を蹴り高く飛躍した人物、レオンは力強く拳を振るう。
目にも留まらぬ速さで振り下ろされた拳だったが、その攻撃はライアには当たらず地に大きな穴を開けた…
長身の男はライアの裾を引っ張り自分の胸へ引き寄せるとレオンを睨む…
互いに威嚇しあっていると、もう1人の人物が現れた…
鋭い剣を手に、怒りを含む瞳で睨むコウガである…
彼は猛スピードで男に立ち向かい斬りかかる…
男はライアを背に守り避けようとはしない…
このままコウガの剣が男を斬る筈だった…
が、
「!?」
男は片手で振り下ろされた剣を掴み、何事もないようにコウガを睨む…
男は刃を掴んでいる筈なのに、傷一つ見えない…
「何か勘違いしてるようだが……どうする?ライア…?」
何事も無かったような表情で背後に守るライアに問う。
するとライアは彼のローブを強く握った。
「わかった…」
それを答えと受け取った男は剣を払いのける。
「…クッ……」
軽々と払いのける男だが、それは物凄い力で、コウガは突き飛ばされた。
バランスを崩し尻餅をついたコウガは素早く身を起こすが、前方には既に2人の姿は無かった。

